僕が乗る羽田発・秋田行きの最終便は、午後八時過ぎのフライトだった。 少し早めに羽田へ行って、一緒に空港レストランで食事をしようという僕の誘いを、真紀さんは頑ななまでに拒んだ。特別なことはしてほしくない、今日がこれからの毎日に続くよう、ごく普通の一日にしたいからという理由だった。 とりあえず服に着替えて、僕は帰り支度を、真紀さんは早めの夕食の準備をした。やがて、パスタソースを煮詰める匂いが部屋に立ちこめると、僕は急に、空腹だったことに気がついた。有り合わせの野菜でサラダでも作ろうかと冷蔵庫をのぞく。野菜 ...